2013年9月26日木曜日

最大荷重、破壊荷重について・・・

お客様のガタ報告で表題項目が問題になってきたように感じます。
Higlasi の設計を始めた頃、この業界の事をほとんど知らない私は表題項目やピリオディックモーション(以下Pモーション)を測定するためのスタンダードが存在しない事に驚きました。
それにも関わらず、最大荷重とPモーションは機種選定時の判断で大きなファクターであることは天体を趣味とされている方々のブログで知りました。
Higlasiを通し、多くの方々と知り合い、中でも重鎮的存在の匿名さんともTELで話す機会があり、彼の見解でも最大荷重とPモーションの評価はそれぞれの会社の独自基準って事でした。
Higlasiでは可能な限りこのブログやHPで公開してきたのですが、もう一度、数値の根拠をメモしときます。

最大荷重:3.5kg
ステッピングモーター検査の合否は0.1Nmです。
このトルクがベルト歯車 16:44、ウォームギヤ 1:60 で赤経軸に伝達されます。
つまり、0.1Nm×44/16×60/1 = 16.5Nm
ギヤの伝達効率を30%として4.95Nm
これは回転軸の中心から10cm位置で約5kg で、経年変化(ギヤのワックス等の劣化)を考慮して
3.5kg としました。
装置の剛性に関しては全く考慮しておりません。

剛性に関してのテストはこんな事をやりましたが、的確かどうかは不明です。
http://tatsujijii.blogspot.jp/search?q=%E5%89%9B%E6%80%A7

破壊荷重:8kg


写真の通り、赤経軸とウォームホイールは4mmのビス2本で固定されています。この固定限界が10kgです。つまり、赤経軸から10cmの位置で回転力を与えると、固定ビスが滑りはじめます。これが滑ると、ウォームギヤとの接触条件が変わります。
ここから、破壊荷重を8kgとしました。

これは搭載荷重8kgを保証する数値ではありません。
装置が壊れてしまうかもしれない数値とお考えください。

新たなパラメーター
ガタ報告 のMASAさんからのコメントで赤経軸延長上10cm位置で3.5kgの荷重を加えた場合どうなるか? これはまさにガタ報告を頂いたお客様の使用環境でどうなるか?を表現するパラメータだと思います。これに関しては、全く考えておりませんでした。
少し、時間をください。検証方法も含め、少し考えてみようと思います。

MASAさんのデータ




10 件のコメント:

MASA さんのコメント...

竜爺様こんばんは

さっそくテストをされたようですね

いつもながら竜爺さんの、ユーザーの身になった製品への取り組みに頭が下がります

健全な製品でのテストで0.1mmの変位ですか・・・・

私は根っからの文系人間で、力学や構造などはからっきしなのですが、素人なりの印象としてお読みください

検出された変位は本体の躯体を剛と仮定すれば、その原因は第一に軸棒の曲げ剛性の問題と第二に台座の金属プレートの歪の問題が考えられると思います

プレート自体は3本のネジで固定されていますのでもしかすると、荷重を加えた方向と逆側のネジのひっぱり強度やネジ穴への応力(による歪)の影響?もあるのかもしれません

いずれにしても、0.1mmの変位の評価は漠然とですが、本体を固定する雲台や三脚の剛性から考えると、さほど問題になるとは思えない印象を持ちます

ぱっと見では台座とアリガタが金属板の加工品であることから、強度的に心配する向きもあるでしょうが、曲げ加工によって、それなりの強度は確保されているというのが運用してみての実感です

私の構成で言えば、その上に載せたパノラマ雲台や並行プレート上の自由雲台のほうがよほど剛性に不安があります(汗)

究極を求めればキリがない世界でしょうが、コストとの関係で、ある程度の精度で妥協することにしなければ、製品として成り立たないと思います

竜爺さんの機械屋としての見識で、着地点を見つけていただければ良いと思います

余談ですが、報告者様のブログでピリオディックモーションが実測で±8秒との記載がありましたね
うらやましい限りです
うちの子はどれくらいなんだろう。。。。

竜爺 さんのコメント...

MASAさん
こんばんは、いつもありがとうございます。
この0.1mmの変位をポタ赤としてどのように料理すれば良いのか、正直、現時点わかりません。数値として決して小さく無い値なのですが、万力で固定された状態で測定できる数値であって、実際僕の所有する三脚に取り付けて、2kgのテンションを水平にかけると三脚は転倒してしまいます。そんな数値にどれだけの意味があるか・・・さっぱりわかりません(苦笑。はっきりしている事は確かにガタとして変位を指先で認識でき、それが気に入らないって事だけです(笑。

MASAさんのデータを見てみました。実天体テストはやってません。治具による測定結果は小さく上に貼っときます。

匿名 さんのコメント...

お久しぶりです!
Higlashiのような小さなウオームホイールで精度を出された
のは凄い技術で感服します。私がPモーション測定装置のヒン
トをお教えしなければできなかったと思いますが(笑)

でも、ウオームホイールの大きいことは「正義」なんですよ。
私の関わったオルゴール赤道儀は直径160mmもあり余裕です。
TOAST-ProはコストダウンのためM12ボルトと同じウオームネジ
(ボルトを加工しているわけではない)を使い、ウオームホイ
ールやスパーギヤは高価なので「三角歯の歯車もどき」を使っ
たタンジェントスクリューみたいな仕組みですが、直径83mm
なのでPモーションはHiglashiには及びませんが±15~20″く
らいは出ています(販社提示のたいそうなデータは不思議)。

ウオームホイルが大きいと各部も大きく丈夫に作れます。
極軸にかかる加重は、鏡筒を付けてグイッと回されたら桁違
いです。細い極軸の接着剤止めは慎むべきです。
普通の赤道儀は「ウオームホイールそのものをベアリング支持」
して中を極軸が貫通しています。貫通した極軸とウオームホイ
ールをクランプで止めます。したがってウオームホイールは
緩むことはなく、もの凄い荷重がかかった場合は、たいていは
クランプ部で滑るので大丈夫なんです。

竜爺 さんのコメント...

匿名さん こんにちは
その節はありがとうございました(笑
ホイールをベアリングで・・・の方法も検討したのですが、とても今の価格では実現できなく、以前お世話になった会社のメカ設計の大先輩とお話し、圧入+接着の方法にたどり着きました。ホントは圧入+カシメにしたかったのですが、設備が必要で・・・。

匿名 さんのコメント...

極軸と厚い円盤は「一体削り出し」が良いとは思いますが、構造上
そうは出来ないのでしょうね。
こういう部分を強くネジ止めすると必ず芯が狂うので、ネジ止めも
やめた方が良いですよね。

ある大型赤道儀メーカーが、極軸ではなく平歯車などの緩み防止に
やっている方法が竜爺さんのに応用可能かも知れません。
それは極軸をはめたら厚い円盤の横からドリルで貫通穴をあけます。
その穴に少し太めのシャフトをたたき込むのです。このメーカーの
例では、φ1.5くらいの細いクロム鋼のシャフトでした。

竜爺 さんのコメント...

匿名さんからのご指摘はその通りです(苦笑
この部分はHiglasi-1Aからず〜〜と悩み試作を重ねてきました。先ず、市販のシャフトカラーでは全くダメでした。シャフトはSUJ2の高周波焼入れですから、後加工ができないため、ロールピンによる固定もできません。シャフトにおネジを切り、カラー部からタップを切り、雄ねじに食い込ませるような邪道をしたこともあります。シャフトとカラーを角穴加工する事も考えたのですが、外注仕事になるため、数千円のコスト高になります。圧入+カシメも検討しましたが、設備に百万円近く必要です。でたどり着いたのが今の方法、つまり圧入+接着、当初不安もあり全数検査をしていたのですが、30台を超えた頃、不良が無かった事もあり廃止しました。これが油断ですね。。。

匿名 さんのコメント...

極軸はSUJ2を使っておられるのですか!硬い!
極軸がうんと太ければアルミ丸棒でも大丈夫ですが、
超小型にすると苦労しますね。
Higlashiのような小さなウオームホイールのポタ赤
で望遠レンズまで追尾できる赤道儀を作れたのは、
たぶん世界中で竜爺さんだけですよ。敬服します。

うんと小さなウオームホイールでポタ赤を試みた人
は、たぶん世界には千人以上はもいると思いますが、
実用できる物を作るのは困難です。
「超広角なら大丈夫」「ISOをうんと上げれば使える」
「初心者には充分」と製品化されることもあるよう
ですが、ポタ赤の地位を下げてしまいますね。

ポタ赤は「天体写真撮影機」です。専用品として、
ますます発展させてください。丈夫で使いやすく精
度も高めねばなりません。
むしろ通常の赤道儀にカメラを載せる手法は代用品
とも言えますが、現在は軽量なこと以外は代用品に
負けている部分もあります。

竜爺 さんのコメント...

匿名さん 
褒め杉です(苦笑
先立つモノが潤沢にあり、利益を考えなくても良いのであれば、やってみたい事はいっぱいあります。。例えば無垢からウォームホイールと同軸でΦ30くらいのシャフトを削り出せば、悩みの多くは解決します・・・(大笑

MASA さんのコメント...

昨晩Pモーションを10分露出で撮影してみました

f200ミリでは判定出来ないほど安定してました

但し最後の方で滑らかに線が曲がっていたので、ガイドエラーの原因は、当方の架台またはカメラ接続部分のたわみのようです

やはりカメラネジを接合部としてシステムを組むことは赤道儀の限界荷重うんぬん以上に厳しいものがあるようです

竜爺 さんのコメント...

MASA さんおはようございます。
その現象はこんな感じですか?
http://tatsujijii.blogspot.jp/2012/01/blog-post_18.html

もしかするとギヤバックラッシュ間の重心移動かもしれません。宜しければ、写真を送って頂けませんか?