2012年8月31日金曜日

最大荷重の根拠


昨日、最大荷重について、お問い合せがありました。
「所有の撮影機材では、合計2.5kg(K-5、レンズ70-200mmF2.8)ですが、搭載可能でしょうか?」
・・・と。
Higlasi-1A の仕様は ・最大荷重 2.2kg です。

そこで疑問がふつふつと・・・。
他社様の最大荷重の根拠はどうなっているのでしょうか?
業界の方、ご存知なら、教えてください。。

以前、ブログでも書いた様な記憶があるのですが、Higlasi-1A の最大荷重 2.2kg の根拠は以下の通りです。
① 極軸を調整するポジジョンで試験棒を使用し最大荷重をかけます。
② その時の歪量(変位)をダイヤルゲージで測定
③ 雲台を90度回転し同様の測定をします。(写真)
④ ②③で得られた数値をあるポイントを支点とした角度計算し、変位が0.1度以内。

言い換えると、DPPA後、カメラの向きを変えても、重心移動による極軸のズレは0.1度以内です。
(但し、三脚や雲台の変位は考慮しておりません)
感覚的には三脚や雲台の歪の方が大きいと思います。

こんな問い合わせもあり、昨夜はシグマの50-500をひっぱりだし、eos60D に取り付けたところ
雲台を含め、3kg強でした。
Higlasi-1A に載せるとこんな感じです。



軸トルクは3kg以上ありますから、当然ですが、エージングモードの800倍速?で問題無く回転します。
DPPAを含め、操作上の問題はありません。
撮影テストでもPモーションエラー値に変化はありません。
丁寧に扱うとすれば、使用可能として良いのかも知れませんが・・・・。
重要なポイントとしての使用感に・・・。

僕は他社様のポタ赤を実フィールドで操作した事が無いので、使用感の比較ができないのですが、三脚、雲台の剛性も弱く、テーブルに固定した場合(上の写真)と比べると、全体としての、ふにゃふにゃ感は否めません。

ですから、当社としては、最大荷重 2.2kg と考えます。
ですから、2.5kgの機材は推奨できません・・・とします。。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

一応、業界の片隅にいたことがあります。
天体望遠鏡のデータは、測定して提示するものではありません。測定設備を持っていないからです。
鏡筒の分解能や集光力、反射鏡の精度などは「理論値」「理想値」ですし、赤道儀のPモーションや搭載重量は、まぁ「だいたいの見当」ですね。
そのことはユーザーの暗黙の了解で、カタログデータは参考にさえしない慣習があるんです。
設計屋の竜爺さんにとっては異様な世界でしょうけれど(笑)

Pモーションや搭載重量は「ウソでも良い数値の方が得策」と考えるか「クレームがあると困るから控えめにしよう」と考えるかで、ずいぶん異なりますね。
Pモーションはユーザーが簡単に測定できる時代になったので(バレると困るから? 笑)最近はカタログから消えていますが、昔はとてつもない「素晴らしいデータ」が公称されていて、信じちゃう人もいたんですよ。

ひどかったのが反射鏡の精度のデータです。昔は「精度1/100λ」なんてのがありました。これは電波の利得と同じで「1/4λ」が基準ですから、たとえば自動車のカタログに「最高時速1000km」と出ているようなものです。
そういう非常識なデータでも信じる人が大勢いました。

ポタ赤が流行すると、Pモーションや搭載重量が、再び「ウソでも良い数値の方が得策」と、どんどん大げさになって行くことを危惧しています。

竜爺 さんのコメント...

匿名さん おはようございます。

市場にカメラが溢れ、その何%かは夜空を撮りたいと思い、そのためには赤道儀が必要と・・・。
自然な流れですが、当の赤道儀にスタンダードが無いって事も、問題ですね。
天文雑誌に赤道儀の評価記事をよく見ますが、性能バラツキの大きいとされる赤道儀の1台だけの評価にどれほどの意味があるか・・・疑問です。かえって、新しいユーザーを惑わすだけにならなければいいのですが・・・。
たまたま性能が出ている赤道儀なら、最高のコマーシャルでしょうが、逆の場合、会社の存続に影響するかも知れません。
もっとも、雑誌にでている赤道儀はメーカーから最高性能のブツが提供されるのでしょうね・・・。

匿名 さんのコメント...

当の赤道儀にスタンダードがない…。
アハハ、まったくその通りですが、自分の赤道儀を「飼い慣らして」なんとか実用する、というのも天体写真のおもしろいところなのでしょう。
そういうところにアクセサリーの追加とか、うんちくとか、秘密のノウハウがありますから(笑)

雑誌のPモーションテストの機材が特別に良い個体なのかどうかは知りませんが、テスターは専門家でしょうから、理想的な状態での上手なテストなのでしょうね。
実際の使用時には、カメラがすごく重いとか、バランスが取れていない状態とか、などなどで、赤道儀によっても、Pモーションはずいぶん悪くなることと思います。
Pモーションは自分で確かめればよいのですよ。

搭載重量ってのは、赤道儀がなんとか動く限界なのか? カタログの追尾性能が出る限界なのか、まったく不明ですね。だいたいの見当でしょう(笑)

竜爺 さんのコメント...

そんな感じですね(笑
でも、自分で確かめて大きかったら「ハズレ」っていうのも、お安いお買い物ではないので難儀です。。
やはりスタンダードを作って行きましょう!それがデファクトになれば、匿名さんの目的の一つが叶うんではないですか?

匿名 さんのコメント...

赤道儀のPモーションを自分で確かめたら、90%の人はガッカリすることになるでしょうねぇ(笑)
組みたてたままで検証していないのですから(注:ビクセンさんのAXD以外は)当然ですけど。
Pモーションのテストは、極軸をズラして望遠で撮影するだけなので、簡単なんですが、なぜかやる人は少ないみたいですね。

ユーザーがテストをしないとなると「言った者勝ち」のあり得ない高精度なデータをメーカーが発表するという、昔の忌まわしい事態になってしまいます。すでにそうなっているかも?

ポータブル赤道儀が一時のあだ花にならないように頑張りましょう。
そういえば、アストロトレーサーもあだ花になったような気がします。

竜爺 さんのコメント...

>アストロトレーサー

へ~~そうなんですか!どちらかと言えば、そちらの方が、僕がやってきた事に近かったんで、やりたいな~~って思った事があります。明るい星をガイド鏡にして、電荷を貯めて、後で画像処理してやれば・・・。そんなに簡単じゃなさそうですね。。。