2015年8月20日木曜日

PHDのオートガイドについて・・・ (8/20 8/28 追記

Higlasi-3B + PHDオートガイドの結果から、以下のコメントをメールにて受けました。
ホント有難いです。
次に何をしたら良いか・・・明かりが見えてきました。


 ------- 匿名MMさんより
オートガイドの修正動作について少し考察してみました

推測も交えて簡単に計算してみたのですが・・・・・
オートガイド機材のお写真から拝察すると、ガイド鏡はf200mm弱、ガイドカメラはASI120系のようにお見受けします。
[お察しの通りです]
これを前提として簡略化のためf200mmのガイド鏡を使用しているとすると、ガイドカメラが1ピクセルで見込む角度は3.87秒角となります。
出典:http://d.hatena.ne.jp/hp2/20140226
また、グラフ画像からはmin.moはRA、DECとも0.2ピクセル程度ですね、これからすると、PHD2はガイド星が原点から1秒弱ズレると修正をかけようとします。
私はわかりやすいDECの動きに着目しました。DECの赤い折れ線グラフを見ると確かに+側に1秒角ほどズレた段階で-側への修正がかかっています。
よく見ると修正信号の赤い棒グラフが短く1回入っている場合は、1ステップ分でしょうか、約4秒角弱の修正が入って結果として差し引きで3秒角弱原点から-側にズレています。
本来はDEC:Agrは0.22ですのでPHDはずれた角度(1秒角)の22%だけ修正をかけるつもりなのですが、1ステップ以下ですので、なすすべなく3.68秒角の修正になってしまいます。
ここで直ちに+側の修正が入らないのはHysを上げているから、性急な逆修正を控えるからのようです。
(残念ながら私にはHysのメカニズムはよくわかっていません)
さらによくグラフを見ていくと、棒グラフが短く1回だけ出た場合は上記のように-3秒角くらいで収まって、後は次第に+側に馬なりでズレていって、また+1秒角辺りで-修正が入る繰り返しなのですが、時に棒グラフが2回出ている時がありますなぜこうなるかは、星のちらつきやバックラッシュなど種々の要因があると思いますが、こうなると-修正はさらに増加して4秒角以上の大ブレになります。
せめて、この大ブレだけでも何とかしたいと思うので、私の対策案は、1ステップ3.68秒角の実力に見合ったパラメーター設定にすることです。

先ず、Agrは下げても限界付近では意味を持たないのでこの際上げて、風などの外力による緊急時の大ブレに対応させる。
また、Min.moは0.6位にして2.4秒角ずれたときに修正を入れる設定とするそしてHysはオーバーランなどで過敏な逆修正を入れないために大きめにする。
(現状でも効いているようなので、このままでもよいか?)などなどです。
こうすれば、2.4秒角ずれた段階で1ステップ3.68秒角の修正が入り、1秒角少々の過修正でとどまるので、そこから馬なりでゆっくりズレて行く繰り返しです。
厳密に3.68の半分でMin.moをセットすればよいのですが若干の余裕をを入れています。
RAのほうも基本的には同じ考え方ですが、両方向に交互に修正が入っているようなので、もう少し複雑かもしれません。

開発作業の参考になるかどうかわかりませんが、PHDの設定で苦しんだ経験をもとにした参考意見です。
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3Bを赤緯ユニットとして使用する場合で4秒精度で問題がある場合。
1/32 1/64 のマイクロステップドライバーを使えば良いかもしれません。
(市場にはこの種のドライバーは多くあります)

また、トルクや消費電力が問題でしたら、Higlasi-2用モーターを使えば、単純に倍の精度が出るかも知れません。その場合ケースに入らないので、メカむき出しですが、近いうちやってみます。。


-------匿名MMさん 追記
少し私見を追加します
よくポタ赤の最小ステップ角では、写真はともかく高倍率の眼視には向かない、との論調があります。惑星などを見るときに、カクカクして見づらいということです。
ですが日本の大気によるシンチレーションを考えれば、5秒角10秒角は当たり前ですので、それほど気にしなくて良いのではないかと思っています。
そして、このことを考え合わせると、引用のブログにも触れていましたが、写真撮影時も焦点距離が伸びてもそれに応じて精度を上げたところであまり意味はないのかもしれません。
現に私の場合ですがf800mmのR200SSニュートンで撮影する場合でも、追尾精度±4秒角程度で星像はまずまずになります。
(というより±2秒角を目指しても、実現しない状況です)
ですのでHiglasi3の性能は十分ではないでしょうかユーザーの欲張りな想いとしては、ゆくゆくはAscom経由でステラナビゲーターやスカイサファリなどの星図ソフト併用で自動導入ができれば最高です。
幸いHiglasiシリーズは高速駆動が得意なので十分実用に耐えるはずです。

コンセプトは違いますがほんまかさんのSS-oneは写真用ポタ赤でありながら、自動導入を実現しています。

個人的にはユーザーサイドにたった開発コンセプトのポタ赤3傑はスワットでもトーストでもなく、匿名さんとこのJILVA、ほんまかさんのSS-one、そして我らが竜爺さんのHiglasiだと思う今日この頃です。
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人様にあまり褒められた記憶が無いので少し恥ずかしい・・・(苦笑
ありがとうございます。。

8/20 匿名さんより
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知合いから「これで良いの?」
と言われてhiglashi3の仕様を拝見したり、最新のオートガイダーに
付いての内容を拝見しました。

最小ステップ角3.68秒角(4.084PPS)という仕様は、あまりにもステ
ップが粗くはないですか?
ベルト駆動の関係でギヤ比が取れないなどの問題があったのだと思い
ますが、以前の約8ppsでもオートガイダーに対応するかどうかぎりぎ
りの値と思います。

8ppsですと赤道儀が頑丈の場合は確実に星が2つ見えます。
それでもポタ赤のノータッチなら大丈夫なステップ数ですが、4ppsで
はオートガイダーにも対応しづらいのはもちろん。ポタ赤のノータッチ
でもちょっと危ないかな? と思います。

2つのエラーの要素(ここではシーイングとステップ角)が重なる場合、
エラーの要素が同じくらいがもっとも相互の悪影響が大きくなります。
片方の要素が1/3~1/4になると無視してよくなります。なので、シー
イングの平均を4″程度と見積もった場合は、最初ステップは1″~1.3″
PPSにすると15PPS~12PPSは必要になると思います。
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貴重なコメント、ありがとうございます。

Higlasi-3(4PPS)は 登山をされているお客様からの要望で開発しました。
コンセプトは山用、1個でも多くのレンズを登山で使えるようにでした。
ですから、言い直せば、少し丈夫で軽い広角用です。
リリースにあたり、そこそこの数で実写テストしましたが、eos60D + 200mmで点像確率も想定以上で、Higlasi-2 シリーズにひけを取らない内容と判断しております。
(所有しているレンズの最高倍率で木星を見ると、数は確かに増えます(笑
Higlasi-3B 2台によるオートガイドは参考程度に考えてください。
1クロックで4秒角動く事は分かっていた事で、でも、これも、想定以上の出来と考えております。
今はPHDのオートガイドがどんなモノなのかを理屈では無く、体で感じていたいのです(笑
理屈理論が先行すると、大事なモノが見えなくなる・・・40年間の商品開発で得た私のノウハウです。
現状、Higlasiのモータードライバーは1/16マイクロステップなのですが、市場にはこれよりも高解像度のドライバーが多くあります。そのうちそれらを使用し導入付きガイダーも作りたいと考えております。
>シーイングの平均を4″程度と見積もった場合は、最初ステップは1″~1.3″
この理屈が今一つ飲み込めません。
良ければ教えてください


8/28 追記
お客様に恵まれ、コメントの間違いにメールにてご連絡を頂きました(汗。
このお客様からは以前、極軸誤差と全方位に対する追尾誤差が計算できるエクセルシートを頂きました。
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さて本論ですが、2乗和の平方根については、統計分析上の事では無いと思いま
すよ。
単純に二つの物体の面積を合計した際の直径を出しているだけです。
シーイングによって星像が肥大した場合の大きさを出しているわけで、それ以外
の意味は無いはずです。

ところで「あまりにもステップが粗くはなか?」という指摘を検証するため、ち
ょっと以下のような算数をしてみました。
計算しなくてもわかりきった事ではありますが、数字を出すため敢えてです。

(a)星像サイズ:10、シーイング(の星像ボケ):0

  -1) 追尾ズレ10 → 10 * 20(1:2)
  -2) 追尾ズレ3  → 10 * 13(1:1.3)
  -3) カメラ・レンズの総合解像度を13とした場合
       -1) 追尾ズレ10 → 23 * 33(1:1.43)
       -2) 追尾ズレ3  → 23 * 26(1:1.13)

(b)星像サイズ:10、シーイング(の星像ボケ):5

  -1) 追尾ズレ10 → 11.2 * 21.2(1:1.89)
  -2) 追尾ズレ3  → 11.2 * 14.2(1:1.27)
  -3) カメラ・レンズの総合解像度を13とした場合
       -1) 追尾ズレ10 → 24.2 * 34.2(1:1.41)
       -2) 追尾ズレ3  → 24.2 * 27.2(1:1.12)

(c)星像サイズ:10、シーイング(の星像ボケ):10

  -1) 追尾ズレ10 → 14.1 * 24.1(1:1.71)
  -2) 追尾ズレ3  → 14.1 * 17.1(1:1.21)
  -3) カメラ・レンズの総合解像度を13とした場合
       -1) 追尾ズレ10 → 27.1 * 37.1(1:1.37)
       -2) 追尾ズレ3  → 27.1 * 30.1(1:1.11)

  解像度を勘案する時はKatzの法則に基づいています。
  全体の解像度は悪い要素の方に収斂するということです。
  [参考] http://www.anfoworld.com/Lens.html#lensmathresolution

ズレ長さにのみ着目した場合、星像が太ると外径は長くなりますが、円の扁平率
は逆に小さくなり、人の目にはズレが分かり難くなるということ。
縦横見比べてズレの判断をするので当たり前のことですね。

オートガイドをしている場合は(上記の追尾ズレ3くらい)、はっきりとしたズレ
として記録されることはなく、星像重心部の輝度の違いとして出てくる程度だろ
うと思います。
PCで強拡大したところでドット絵になるだけですし。
これも浅野さんのテストで実証されていると思います。

空の状態が極めて良いところでノータッチガイドをすると、人によってはズレが
気になるかもしれませんが、本機の性格等を考えると、露出時間を調整して対応
すべきだろうと思います。

なお上記の数字遊びも像面上のことであり、鑑賞レベルだと全く問題無いと思い
ます。
撮像素子がAPS-Cのカメラで撮ったものをA4で鑑賞する場合、倍率は約12.6倍と
なります。
仮に3umのズレが生じたとして、3*12.6=37.8umであり、人の眼の分解能よりも下
回っています。
視力検査のようにワッカの隙間を識別するのではなく、角度の違う縦横の寸法差
を見るので分かり難いでしょう。

そもそもどんな赤道儀でも、ガイド誤差を無くすことはできないのですから、真
円(扁平率ゼロ)にはならないですね。
ものには限度があるわけですし、その閾値(仕様)を決めるのは設計者の専権事項
だろうと思います。
それをユーザーがきちんと理解しているのかという問題もあるわけですが。
例えば二軸でオートガイドすると全くズレないと思ってるとか……

もしかすると、どのくらいの焦点距離(換算ではなくて実焦点距離)を想定してい
るのか、明示していただいた方がわかりやすいかもしれません。
使用者の機材のバランス、剛性等が保てるとして、基本が200mmで上限は300mmく
らいかなと思っています。

最後にちょっとしたシミュレーションの画像をお送りしますのでご笑覧下さい。
実際の数値や星像は、ガイダーの設定や空の状態によって変わってくるとは思い
ますが。
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6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

2つの要素が面積体で絡む場合は高校の物理で習うと思いますが、星像の大きさを例にご説明します。たとえば、

・元の星像の大きさ----10ミクロンと仮定
・シーイングの星像ボケ----5ミクロンと仮定

上記は「足し算になる」と思っている人が思いのほか多くて、その考え方から元の星像が甘ければ、ガイディングも甘くて良い思っているようで驚きますが、それぞれの2乗の和の平方根、になります。
計算の順序は、

10X10=100
5X5=25
なので
100+25=125
√125=11.2   
※10ミクロンの元星像と5ミクロンのシーイングが絡むと星像は11.2ミクロンに膨らむ。

次に、
・元の星像の大きさ----10ミクロンと仮定
・シーイングの星像ボケ----10ミクロンと仮定
10X10=100
なので
100+100=200
√200=
※10ミクロンの元星像と5ミクロンのシーイングが絡むと星像は14.14ミクロンに膨らむ。

すなわち、元の星像とシーイングが同じくらいの時が最高に悪影響しあう。
このことを誤解している人はすごく多いです。
「元製造がボケているからシーイングが悪くても良い」とか
「元製造がボケているから追尾精度も粗くて良い」とかですね。

ちなみに片方が1/3以下だと無視しても良くなります。
・元の星像の大きさ----12ミクロンと仮定
・シーイングの星像ボケ----3ミクロンと仮定
12X12=144
3x3=9
なので
144+9=153
√=12.37ミクロン(ほとんど変化なし)

これは星像とガイディングにも関係にも当てはまるので、シーイングが10″と粗ければ
ガイディングも10″で良いのではなくて、それが最悪です。
ガイディングは10″の1/3以下にして無視できるようにしませんと。

竜爺 さんのコメント...

匿名さん おはようございます。
コメントありがとうございます。今出先で、帰りましたらコメント致します。

竜爺 さんのコメント...

まだ出先ですが、少し時間が取れましたので、思う所を・・・

>2つの要素が面積体で絡む場合は高校の物理で習うと思いますが・・・

本質的話では無く、重箱の角を何とか的お話で・・・・すみません。
統計的手法について語れる程の知識は無いのですが、知ってる範囲で・・・間違っていたらごめんない。
2乗和の平方根は正規分布する誤差を持った複数個のサンプルについて誤差値をどのように扱うかの手法であって、シーイングが星像に与える影響にこの手法を当てはめるには無理があるような気がします。
大気の揺らぎで起きるシーイング5ミクロンはゼロ次元光点が±2.5ミクロンになり正規分布するの意味なら、元の星像+2.5*68%(σ)あたりが現実的でしょうし、経験的固定値でしたら元の星像+2.5だと思います。
また、ピリオディックモーションやオートガイドのエラーが加算されるわけですが、これらのエラーが正規分布するとは考え辛いので、2乗和の平方根で・・・は少し無理があるような気がします(間違ってるかも(笑)
ピリオディックモーションの中央値に対するバラつきは正規分布しそうな気もしますが・・・・。

竜爺 さんのコメント...

元の星像が固定値では無く、ゼロ次元光点で10ミクロン、シーイングも10の範囲で正規分布するなら、√200の様なきがします。

MASA さんのコメント...

かなり難しい内容になってきていますね、、、
いちユーザーの当方には難しい理屈はよく解りませんが、私の関心は例えばPモーション±4″の赤道儀でf300mmのレンズをノータッチガイドする場合、最小ステップ角が4″の赤道儀でパラメーターを最善にしてオートガイドする場合、などなどで果たして上手くガイドできるかどうか、という点に尽きます
カメラの理論値でなくフィールドでの現実の分解能以内のズレであればユーザーとしてはOKとなるのではないでしょうか

竜爺 さんのコメント...

MASAさん こんにちは
やっと篠山に帰ってきました。
理論は理論として重要ですが、どっかでも書きましたが、完成度の低い理論が先行すると、見えなくなるモノも多く、僕自身、この分野で胸を張れるほど完成度の高い理論を持っている訳ではなく、特にメカ部を持ったこの種の装置は泥臭い作業でつくり上げるものだと考えております(苦笑

現状、設計屋としてHiglasi3Bに求めている能力は100%発揮できていると考えております。
オートガイドが4秒角で制御されてる波形は感動モノでした。仕様上は±25秒角を謳ってるHiglasi-3Bがこの値で制御さて、実写でも点像が得られてるのですから・・・(笑

この先、もう少しオートガイドで遊んで見たいと考えております。
最小ステップ角を半分や倍にすると、どうなるか?とか、赤経をHiglasi-2系でやるとどうなるか?とか・・・・。
失敗も含め、このブログに載せますので、また、観てやってください。。